炭化けい素(Silicon Carbide)とは非酸化物セラミックスの一種で、炭素(C)とけい素(Si)が1対1で結合したもので、化学式はSiCで表されます。
1891年アメリカでEdward G.Achesonがダイヤモンドを合成しようとした際に偶然発見したものといわれています。炭化けい素(SiC)は有益な特性を数多く持っており、その特性を生かして耐火材や研磨・研削材として利用されてきましたが、近年ファインセラミックス、エンジニアリングセラミックスや半導体の材料として注目されています。
炭化けい素(SiC)の生成式は一般に次の反応で示されます。
当社では炭素原料(C)とけい素原料(Si)を混合したものを電気炉(アチソン炉)に詰め、直接通電してインゴットを製造しています。
1.硬度 |
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炭化けい素(SiC)の硬さは新モース硬度で表すと13で、ダイヤモンド(新モース硬度15)、炭化ホウ素(新モース硬度14)に次いで地球上で3番目に硬い化合物です。 |
2.熱伝導率と熱膨張率 |
炭化けい素(SiC)は熱伝導率が高く(熱を伝えやすく)、また、熱膨張率が低い(熱による体積変化がすくない)為、熱衝撃にはとても高い耐性を持っています。 |
3.耐酸化性 |
炭化けい素(SiC)は粒状の場合、700℃以上で酸化が始まるといわれており、その酸化物(SiO2)がSiCの表面を覆い、酸化に対し保護膜となる為、酸化が抑制されます。 |
4.耐熱性 |
炭化けい素(SiC)は熱安定性が強く、大気圧下では溶融することは出来ません。分解温度は約2545度で極めて優れた耐熱性を有しています。 |
5.耐食性 |
炭化けい素(SiC)は極めて安定した化合物で、酸やアルカリにも侵されにくく、とても優れた耐薬品性を有しています。 |
6.電気的性質 |
炭化けい素(SiC)は半導体の性質を有し、電気抵抗が発熱体として使用できる低抵抗領域から絶縁体に近い領域まで変化します。 |
【参考文献】
日本学術振興会高温セラミック材料第124委員会編 『SiC系セラミック新材料』 内田老鶴圃, 2001年